加速度センサーやシリコン基板など、我々の身近で使われているmems技術について
MEMSとは、Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム)の頭文字からメムスと呼ばれています。
その技術は、プリンターヘッド、自動車のエアバッグ、携帯電話やゲーム機等で使われる加速度センサーや、プロジェクターで光を制御するミラーデバイスなど、幅広い分野における多様な製品の高付加価値化(高機能化、安全化等)を支える必要不可欠なデバイスとして活用されています。
MEMSの技術範囲として、機械要素部品、センサー、アクチュエータ、電子回路を一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に集積化したデバイスを指しています。
他のデバイス工法上の制約や材料の違いなどにより、機械構造と電子回路が別なチップになる場合があります。これらを組み合わせるようなハイブリッドの場合にもMEMSと言います。
主要部分は半導体集積回路作製技術から作りますが、立体形状や可動構造を形成するための犠牲層エッチングプロセスをも含むまでMEMSとなります。
市場規模が拡大して応用分野も多岐にわたる期待は大きく、日本のものづくり産業の将来の成長に向けた「次世代産業を支える技術」の一つとして挙げられ、戦略的な取組が求められています。
日本では、MEMSを「マイクロマシン」と呼ぶことがありますが、「マイクロマシン」は可動部品の機械構造と電子回路を持つ微細機械とされていて、「MEMS」という場合は、機械・電子・光・化学などの多様な機能を集積化した微細デバイス全般を言うようになっています。
一般の半導体素子との違いは構造が立体的であり、可動部を有するという点です。しかし、まだMEMSの定義はあいまいな部分があり、可動構造がないDNAチップなどもMEMSと呼ばれています。
MEMSの大きさは、一般には全長がmmオーダー以下で、その部品はμmオーダーが普通です。
半導体市場調査会社である仏Yole Developpementが '2019.5月末に発行したMEMS市場に関するレポートによると、2018〜2023年のMEMS市場の年平均成長率は17.5%となり、2023年には310億ドルに達するという予測が示されています。
MEMS(微小電子機械システム)は、自動運転実現の鍵を握る重要部品です。特に自動運転用3次元レーザーレーダーの「LiDAR」(Light Detection and Ranging)は、自動運転技術には欠かせないセンサーになっています。ここにはMEMSの1つである、微小ミラーを動かして光線を制御する「マイクロミラーデバイス」をレーザー走査する方式が開発されています。
4G/5G向けのRF MEMSの需要も増加することが期待されています。スマホの基幹部品である「RF(無線周波)フロントエンドモジュール」の根幹はMEMSです。「フロントエンドモジュール」の中でも「弾性波フィルター」は特に重要で、必要な周波数の電波を切り取って取り出す機能を持つMEMSで、BAW(Bulk Acoustic Wave)フィルターと呼ばれています。
今後もMEMS市場はこれらの他、家電、医療、バイオなど民生・産業用を中心に様々な分野で幅広い適用拡大が見込まれています。